法然院はこの時期、深い緑に包まれます。哲学の道から脇道に入るとグリーンのシャワーを浴びながら山門へ向かうのですが、この光景には、いつも強く惹かれます。

あの門の向こう側にはどんな世界が広がっているのか? 一歩一歩近づくにつれ、なんだか期待感がふくらむ。といったような感じでしょうか。

山門をくぐると白砂壇が目に飛び込んできます。両側に白い盛り砂があり、これは水を表すもの。この間を通ることは、心身を清めて浄域に入ることを意味しているのだそうです。
この日は夕方からイベントがある様子。いつもより少し人が多いようで、なんだかせかされているように思えてしまいましたが。先も急ぐのでざっと一回りしてそそくさとおいとま・・・

詩仙堂、ここもまた、とても好きなところです。“詩仙の間”の四方の壁に掲げられている、狩野探幽が描いた中国の詩家36人の肖像画「中国三十六詩仙像」があまりにも有名ですね。この部屋に続く広い部屋“嘯月楼”で庭園を眺めていると、何もせずともずっとここにこうしていられるような気がしてきます。

庭園は歩くことができるので、降りてみましょう。自然の渓流があり、しし脅しの音や小さな池のカエルの鳴き声を聴きながらの散策では、初夏の草花や木々に魅せられ、閉門の時間までずっとここで過ごしてしまいました。